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CREATURES / BIRDS

鳥

奄美大島の照葉樹林には、瑠璃色のルリカケスや幻の鳥オオトラツグミなど、この島や周辺の島々だけに暮らす固有の鳥たちがいます。渡り鳥や冬鳥も多く、季節によって出会える顔ぶれが変わります。

図鑑ページについて

奄美大島には、ルリカケスやオオトラツグミのようにこの島でしか見られない固有種から、アカショウビンやサシバのように決まった季節にだけ訪れる渡り鳥まで、多様な鳥が暮らしています。分類の近い仲間ごとにグループ分けして紹介しています。

鳥は種類が多く、これからも記録が増えていくジャンルのため、写真や情報が集まった種類から少しずつ図鑑形式で追加しています。写真や名前をクリックすると、それぞれの詳しいページを見ることができます。

ここで紹介する鳥の多くは、国の天然記念物や国内希少野生動植物種に指定されており、法律により捕獲・採集・譲渡が禁止されています。野鳥は捕まえて持ち帰るものではなく、驚かせずに観察・撮影を楽しむ生き物です。十分な距離を保ち、鳴き声の再生(プレイバック)や餌で呼び寄せることは避けてください。特に営巣中や繁殖期は親鳥やヒナが敏感になっており、近づいたり物音を立てたりすると抱卵放棄や巣立ちの失敗につながるおそれがあります。夜間の撮影ではストロボや強い照明を使わず、営巣場所が特定できる情報をSNS等で公開しないようにしましょう。

奄美で出会える鳥

スズメ目(ヒタキ・カラス・サンコウチョウの仲間)

アカヒゲ
アカヒゲ
スズメ目ヒタキ科Larvivora属アカヒゲ Larvivora komadori

全長約14cm 体重約18g。男女群島からトカラ列島、奄美大島とその周辺島、徳之島にかけて繁殖する日本固有種で、1970年に天然記念物に指定。奄美大島には周年生息するが、繁殖期の3月から6月頃はオスが縄張りを主張して特によくさえずるため、この時期の早朝にさえずりを頼りに探すと見つけやすい。オスは頭部・背・尾が鮮やかな橙赤色で、胸と脇の黒い部分が名前の由来である「ヒゲ」のように見える。メスは全体に地味な色合い。常緑広葉樹林の林床で昆虫などを採餌する。沖縄島北部には別種のホントウアカヒゲが生息するが、分布域は重ならない。

観察期 3〜6月
捕獲・譲渡禁止(天然記念物)
イソヒヨドリ
イソヒヨドリ
スズメ目ヒタキ科イソヒヨドリ属イソヒヨドリ Monticola solitarius

全長約23cm。オスは頭から背が青色、胸から下尾筒が赤褐色、メスは灰褐色地に黒褐色の鱗状斑と、雌雄で見た目が大きく異なる。奄美大島に一年を通じて生息する留鳥で、和名の通り本来は海岸の岩場や港などの磯環境を好むが、近年は日本各地で内陸部や市街地への進出が進んでおり、奄美でも人家の屋根や電線、駐車場など生活圏で見かける機会が増えている。甲殻類や昆虫、トカゲ、小型のネズミまで捕食する肉食性の強い鳥で、高く澄んだ複雑な節回しでさえずる。単独性で周年縄張りを持ち、繁殖期は3月頃から始まるとみられる。

観察期 1〜12月
観察できる生き物
オオトラツグミ
オオトラツグミ
スズメ目ヒタキ科オオトラツグミ Zoothera dauma major

全長約30cm。奄美大島にのみ生息する留鳥で、黄褐色の地に虎柄のような黒い斑紋が入る。国の天然記念物、国内希少野生動植物種に指定。林齢の高い広葉樹林の薄暗い林床を好み、ミミズなどを食べる。繁殖期の2月から4月初旬には、夜明け前や夕暮れどきの薄暗い時間帯に「キョローン、ツィーッ」という澄んだ美しい声でさえずる。かつては森林伐採や外来種の影響で「幻の鳥」と言われるほど数を減らしたが、近年は森林の回復とともに生息数が回復傾向にあり、2026年3月の環境省第5次レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)から準絶滅危惧(NT)に引き下げられた。

観察期 2〜4月
捕獲・譲渡禁止(天然記念物)
ルリカケス
ルリカケス
スズメ目カラス科カケス属ルリカケス Garrulus lidthi

全長約38cm。奄美大島・加計呂麻島・請島にのみ生息する日本固有種で、頭部と翼・尾は瑠璃色、背と胸から腹は赤褐色で、白いくちばしと羽先が美しい。1921年に天然記念物に指定。常緑広葉樹林を好み、シイやカシの実を食べる雑食性。留鳥で、一年を通して観察できる。繁殖期は2月〜5月頃で、樹洞などに3〜5個の卵を産む。特に2月後半から4月上旬は親鳥が巣の周辺で活発に動き回るため観察のチャンスが増える。かつてはノネコやフイリマングースの捕食で数を減らした。その後生息状況が良くなり、2008年に国内希少野生動植物種の指定が解除された。2024年にはマングースの根絶も宣言された。日中は活発に飛び回るが、夜は林道沿いの電線や枝先で休む姿を観察できる。

観察期 1〜12月
捕獲・譲渡禁止(天然記念物)
リュウキュウサンコウチョウ
リュウキュウサンコウチョウ
スズメ目カササギヒタキ科サンコウチョウ属 リュウキュウサンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata illex

全長はオスが尾羽を含め約45cm、メスは約18cm。全体に黒紫色の光沢があり、目の周りとくちばしは鮮やかなコバルトブルー。オスは体長の3倍近い長い尾羽を持ち、飛翔する姿は独特。奄美大島には夏鳥として4月頃に渡来し、薄暗い林内で枝から枝へ飛び移りながら、羽虫やハチ、チョウなど飛んでいる昆虫を空中で捕らえる。鳴き声が「ツキ・ヒ・ホシ、ホイホイホイ(月・日・星、ホイホイホイ)」と聞こえることから、三つの光にちなんで「三光鳥」と名付けられた。5月から7月にかけてコケなどを使ったお椀型の巣を木の股に作り、抱卵・育雛を行う。巣立ち前のヒナがいる時期は、巣のすぐそばに長時間留まったり枝を揺らしたりすると抱卵放棄につながるおそれがあるため、双眼鏡越しに短時間観察するにとどめる。9月頃には東南アジアの越冬地へ再び渡っていく。

観察期 4〜9月
観察できる生き物

ブッポウソウ目(カワセミの仲間)

カワセミ
カワセミ
ブッポウソウ目カワセミ科カワセミ属カワセミ Alcedo atthis bengalensis

全長17cm、体重19〜40g程度の小型のカワセミ。頭部から背にかけて光沢のある青緑色、腹部は鮮やかな橙色で、「水辺の宝石」とも呼ばれる。奄美大島では周年生息する留鳥で、河川や水田脇の水路、ため池など様々な淡水域に現れる。水辺に張り出した枝や杭にとまって水面を見つめ、小魚やエビを見つけると勢いよく飛び込んで捕らえる。縄張り意識が強く、単独かつがいで行動し、土手や崩れた斜面の土中に横穴を掘って営巣する。繁殖期は3月から8月頃で、複数回子育てをすることもある。求愛の際にはオスがメスへ小魚を渡す「求愛給餌」が見られ、この時期は行動が活発でより観察しやすい。他の多くの鳥のように夜の森ではなく、明るい時間帯の水辺で観察しやすい数少ない鳥。

観察期 3〜8月
観察できる生き物
リュウキュウアカショウビン
リュウキュウアカショウビン
ブッポウソウ目カワセミ科アカショウビン属 リュウキュウアカショウビン Halcyon coromanda bangsi

全長約27cm。全身が光沢のある赤褐色で、腰の水色の斑が飛翔時によく目立つ。奄美大島では地元で「クッカル」とも呼ばれ、「キョロロロロー」とよく通る鳴き声で親しまれている渡り鳥(夏鳥)。東南アジアの越冬地から例年4月末のゴールデンウィーク前後に渡ってきて、9月頃までに再び南へ渡っていく。カワセミの仲間だが魚はあまり食べず、カニやカエル、トカゲ、昆虫など森の生き物を幅広く捕食する。繁殖期の6月から7月にかけて樹洞やキツツキの古巣に5個ほどの卵を産み、雛は7月頃に巣立つ。この時期は親鳥が神経質になっており、営巣木に近づいたり物音を立てたり、フラッシュ撮影をしたりすると抱卵放棄や早期の巣立ちにつながるおそれがあるため、離れた場所から静かに、短時間の観察にとどめる。

観察期 4〜9月
観察できる生き物

フクロウ目

リュウキュウコノハズク
リュウキュウコノハズク
フクロウ目フクロウ科コノハズク属 リュウキュウコノハズク Otus elegans elegans

全長22cm、日本最小級のフクロウの仲間。全身が褐色で細かな虫食い状の斑が入る。奄美大島以南の南西諸島に周年生息する留鳥で、成熟した森だけでなく人家近くの林でも見られる。夜行性で、日没後に「コホッ、コホッ」という低い声を繰り返し、メスが「ニャッ」と応えるように鳴くこともある。昆虫やクモ、ヤモリなどを捕食する。樹洞やキツツキの古巣、オオタニワタリの葉陰などに営巣し、繁殖期の4月から7月頃に4〜5個の卵を産む。抱卵はメスのみが行い、雛への給餌は雌雄で協力して行い、7月頃に巣立ちを迎える個体が多い。巣立ち前後のヒナは飛翔がまだ不安定で、地面近くの枝に降りていることがあるが、拾い上げたり長時間ライトを当て続けたりせず、そっとその場を離れる。鳴き声自体は繁殖期に限らず一年を通じて聞こえる。IUCNレッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されている。

観察期 4〜7月
IUCNレッドリスト:準絶滅危惧(NT)
トラフズク
トラフズク
フクロウ目フクロウ科トラフズク属トラフズク Asio otus

全長35〜40cmほどで、頭に長く伸びた羽角(耳のように見える羽毛の房)が特徴のフクロウの仲間。上面は灰褐色〜淡褐色で縦縞が入り、虹彩はオレンジ色。北海道や本州北部では夏鳥として繁殖するが、本州中部以南では主に冬鳥として飛来する。奄美大島に周年生息するフクロウの仲間はリュウキュウコノハズクとリュウキュウアオバズクの2種のみで、トラフズクはこれらとは別に、毎年少数が冬鳥として飛来し、例年11月頃から見られる。非繁殖期には常緑樹や竹藪などに複数羽が集まって集団ねぐらを形成する習性が知られている。ネズミなど小型哺乳類を中心に、昆虫や小鳥も捕食する。奄美大島での飛来数は少なく、警戒心が強いため観察はやや難しい。

観察期 11〜3月
観察できる生き物

タカ目

アカハラダカ
アカハラダカ
タカ目タカ科アカハラダカ Tachyspiza soloensis(2024年の分類見直し前は Accipiter soloensis)

全長約30cm前後の小型のタカ。日本では繁殖せず、春と秋に通過する旅鳥である。上面は暗い青灰色、下面は淡い橙褐色で、虹彩はオスが暗赤色、メスが黄色。中国東北部から朝鮮半島にかけて繁殖し、東南アジアで越冬する。春にも渡りが見られるが、奄美大島でまとまった数が観察されるのは主に秋で、餌となるオオシマゼミやウスバキトンボが増える9月中旬から10月にかけて渡りのピークを迎え、上昇気流に乗って群れが旋回する「鷹柱」が見られることもある。カエルや昆虫、トカゲなど小動物を幅広く捕食する。IUCNレッドリストでは軽度懸念(LC)で、環境省レッドリスト・種の保存法の指定対象にはなっていない。

観察期 9〜10月
観察できる生き物
サシバ
サシバ
タカ目タカ科サシバ属サシバ Butastur indicus

全長はオス約47cm、メス約51cm、翼を広げると105〜115cmになる中型のタカ。頭部は灰褐色、体の上面と胸は茶褐色で、喉は白地に黒い縦線が入る。ヘビやトカゲ、カエルなどの小動物やセミ、バッタといった昆虫を主に捕食する。九州以北の本州・四国で繁殖し、繁殖を終えた個体が9月上旬から南西諸島を経由して東南アジアへ渡っていく。奄美大島は国内最大級の越冬地として知られ、10月中旬頃に渡りのピークを迎え、上空で多数の個体が輪を描いて上昇する「鷹柱」が観察できる。渡りきれずに越冬する個体も多く、例年約2000羽が11月から翌年3月頃にかけて滞在する。環境省レッドリストで絶滅危惧II類(VU)、ワシントン条約付属書IIに掲載されている。ねぐらにしている林の周辺では、大声や急な動き、フラッシュ撮影で個体を驚かせて余計な飛行をさせないよう、離れた場所から静かに観察する。

観察期 10〜3月
環境省レッドリスト:絶滅危惧II類(VU)

チドリ目(シギ・チドリの仲間)

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ
チドリ目シギ科アマミヤマシギ Scolopax mira

全長約35〜36cm。奄美群島と沖縄諸島にのみ生息する日本固有種で、奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島で繁殖が確認されている。近縁のヤマシギに似るが、脚が長く全体的に黒みがかり、他のシギ類よりずんぐりとした体つき。常緑広葉樹林の薄暗い林床を好み、日没から日の出にかけて活発に活動し、地面でミミズや昆虫を採る。朝夕の薄暗い時間帯や満月の夜に特に活発になる。繁殖期は2月から5月頃で、夕暮れ時にはオスが縄張りや求愛のために飛び回る「ディスプレイフライト」を行うため、この時期は姿を見つけやすい。林内の地上に営巣し、3月から5月頃に2〜4個の卵を産む。1993年に国内希少野生動植物種に指定された。フイリマングースの根絶や森林伐採量の減少に伴う森林の回復により個体数は緩やかな回復傾向にあり、2026年3月の環境省第5次レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)から準絶滅危惧(NT)に引き下げられた。ただしノネコによる捕食などの課題は残っている。

観察期 2〜5月
捕獲・譲渡禁止(国内希少野生動植物種)
セイタカシギ
セイタカシギ
チドリ目セイタカシギ科セイタカシギ属セイタカシギ Himantopus himantopus

全長約37〜40cm。赤みを帯びた非常に長い脚と、細く黒い嘴を持つシギ・チドリの仲間。体は白く、翼と背は黒い。オスは頭部後方まで黒みが強く出るが、メスは淡い。水生昆虫や甲殻類、貝類、小魚などを食べる。日本では1975年に愛知県の干拓地で初めて繁殖が確認されて以降、本州の一部地域で局地的に定着しているが、南西諸島では旅鳥・冬鳥としての飛来が中心である。鹿児島県内では奄美大島・徳之島・トカラ列島中之島などで飛来記録があり、近隣の沖永良部島では2009年に繁殖が確認された例もあるが、奄美大島そのものでの繁殖記録や、飛来時期を具体的に示す記録は少ない。干潟や水田、休耕田など浅い水辺を好む。環境省レッドリストでは、以前は絶滅危惧II類(VU)に区分されていたが、現在は情報不足(DD)に変更されている。

観察期 3月・4月・8月・9月・10月
環境省レッドリスト:情報不足(DD)
タゲリ
タゲリ
チドリ目チドリ科タゲリ属タゲリ Vanellus vanellus

全長32cm。頭には長く伸びた冠羽があり、背は光沢のある緑黒色、腹は白い。優雅な姿から「冬の貴婦人」とも呼ばれる。ユーラシア大陸で繁殖し、日本には冬鳥として飛来する。奄美大島には例年10月下旬頃から水田や畑などの開けた農耕地に姿を見せ始め、翌年3月末から4月頃まで越冬する。群れで行動し、ミミズや昆虫を土の中から探して捕食する。奄美大島の代表的な夜の森の生き物とは異なり、日中の農耕地で観察しやすい冬の使者。

観察期 10〜3月
観察できる生き物

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